「人間の生々しさや泥臭さを表現して、アートだと認められるのがベルリン」

>>Takumiさんはいつも、いかに学ぶかを考えておられますね。

僕はまだまだ勉強しているところなので、吸収することがいっぱい有るんです。
吸収する事に目を向けないと、もったいない。
自分が得られるはずなのに、流してしまうのはもったいない。
「拒まず・何事にも視野を広く・柔軟に」がモットーです。

 

>>そのためにベルリンに来たんですか?

そうです。
元々若いうちにドイツに来たい、というのもありました。
ドイツのフィジカル・シアターも知っていたし、オペラなどもあり、ヨーロッパの舞台を勉強してみたかった。
もちろんLAでも学べる事は沢山ありますが、ちょっと視点を変えて、もっと自分の幅を広げたいなと思って。
2015年の1月に、ベルリンに来ました。

 

 

Lena & Ben // Showreel Film from Lara Kalifilm Celenza on Vimeo.

 

>>1年半くらいで・・・ドイツ語流暢ですね!ショートフィルムを拝見しました。

難しいですね、言葉の面は。

 

>>言葉を使う職業ですしね。ヨーロッパとアメリカは、言語だけではなく価値観から何から全く違うと思うのですが、Takumiさんはどう感じられましたか?

違いますね、びっくりしました。特にベルリンとLAは全然違います。

先週の木曜日に、”KOMPANIE PROJEKT”のリハーサルの時、
「自分は売春をしている。でも、売春していることについて、自分は納得いっていない」というだけのステージ・ディレクションを与えられて。
他の人のシーンを見たときに、今まで見たことが無いようなシーンを、彼らが次々とするんですよ。
人間の生々しさだったり、泥臭さだったりとか・・・それを当たり前のように出して、アートだと認められるのがベルリンだと思うんですね。
それを見た瞬間、そのひと時でも、ここベルリンに来て良かったと感じました。
もちろんLAにも独自の良い文化はたくさんありますが、やはりベルリンは刺激的ですね。

 

>>色々な表現が許される、懐の深さがありますね。ところで、全くの新天地で食べていくのは難しくないですか?わたし自身、フリーランスとして生き延びるために必死なので。笑

生計は色々な形で立てています。
小さなフィルムへの出演をはじめ、日英独の通訳、フードフェスティバルなどの運営係、バリスタとしてコーヒーを作るなど・・・
単発のものから定期的なものまで、時間があるときにリハーサルに差し支えがない程度にしています。
アメリカでの仕事の貯金も未だあるので、今のところはアパートの一室でベッドの上で寝られるというありがたい暮らしです。

 

>>色々していらっしゃる!ユニークな人々と知り合う機会も多そうですね。

仕事先で会う人たちは、アーティストの方達がほとんど。みなさんパンチのある濃い人が多いです、良い意味で。
色々な分野の方に会うのですが、それぞれ独自の世界観をしっかりと持っていて、そういう方々からは自然と力をいただけます。
なのでフィールドが違っても、何か展示会や公演があれば足を運ぶようにしています。良い刺激になるので。

 

>>アーティスティックであることは、ベルリンの魅力の一つですよね。リハーサルも何もない、お休みの日は何を?

僕は本を読むのが好きで・・・特に心理学がとても好きですね。
サブリミナル&無意識に関する本を、最近は読んでいます。

自分のやりたいことが出来る環境があることは幸せ「これが、僕の生涯のやりたいことです」

演劇を学び始めた当初は今思うと、ただステージに出たくて、ただ注目を浴びたい、みたいな感じでした。
自分がオーディエンスだったら、絶対に見に行きたくない俳優でした。
でも真剣に真剣に向き合って行くうちに、だんだん考え方も変わってきて。
それも有って、モノローグ”Echoes of Myself”に戻るんですが・・・これまでは限界手前でブレーキをかけ、いつも浅いセーフラインを歩いていたんです。
でも、これは今ここでやっておかないといけないなと思って。

気がついたら、ここまで来ていた。
もう、戻らないし止まらない。
これが、僕の生涯やりたいことです。

 

>>今働いておられるフィジカル・シアターも、夢だった場所なんですよね。

そうですね、日々幸せです。
今こうやってお話ができること、こうやって大好きなジンジャーエールを飲めること、ボトルを持てる手があること、美味しいと味わえる舌があること、ラベルを見られる目があること・・・
それに、自分のやりたいことが出来る環境があること。
それを応援してくれる家族や友達が居ること。
当たり前のようだけど、当たり前じゃない。これ以上無い幸せを感じています。

 

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Takumi Bansho(番匠巧)ホームページ
http://hlyodtr.wix.com/takumibansho

“From” 6月公演舞台
https://www.facebook.com/events/1704782489770560

”KOMPANIE PROJEKT” 12月公演舞台
http://www.tatwerk-berlin.de/index.php/de/programm/performance-projects/104-kompanie-projekt?date=2016-06-16-20-00