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みなさんは、「クリぼっち」という言葉をご存知でしょうか。

「たまごっち」の類のものではなく、特定の人々を指す言葉なんです。

イヤという程クリスマスソングが流れるこの季節。クリスマスを心待ちにする人、クリスマスを前にうろたえる人、クリスマスを無きものにしようとする人。いろんな心境の人がいます。

恋人がいる人たちは、何日も前から予約していたレストランでのディナーを楽しむ。友達と過ごす人は、朝まで騒ぐ。温かい料理を囲んで、家族と過ごす人たちもいるでしょう。

その一方で、クリぼっちはクリスマスをひとりぼっちで過ごす人のことを指します。恋人はおろか、友達ともクリスマスを過ごす予定がない。クリぼっちは『ベスト・オブ・非リア充』と言っても過言ではないかもしれません。

クリぼっちの中には、クリスマスに過ごす人がいないという現実を直視したくないあまり、奇行に走る人もいます。私も今まで何度かそのような人々に出会い、またそのようなエピソードを耳にしてきました。

そこで今回は、クリスマスの悲しきエピソードの化身「クリボっち」のイラストとともに、クリぼっちの悲しき武勇伝をご紹介します。

なお、この記事はこれらの行為を勧めるわけではありません。責任を持って自らの意思で行動してください。

 

1 母から伝えられた「山下公園カップルアタック」

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クリスマスはカップルたちであふれる山下公園。そんなリア充たちに制裁を!と執念に燃えるクリぼっちがいました。

手をつなぎながら山下公園を歩くカップルたちの、手の結び目めがけて走り抜ける。ささやかなカップルへの抵抗です。これをやれば、イチャイチャしまくりのカップルにも、一瞬気まずい空気が流れることでしょう。その一瞬をやりがいに、ひとりリア充の聖地へ赴くわけです。勇者と称えてもいいかもしれません。

ちなみにこれは、私の友人がお母さんに教えられたことらしいです。30年前に当時高校生だったお母さんが実践して、なんと補導されたとか。ある意味とんでもないクリスマスになるので、絶対に真似はしないでください。

 

2 身も心も凍える「東京湾ダイブ」

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冬の寒さは一人身にこたえます。どうせ寒いなら、もっと寒くなっても同じじゃないか?そう考えたクリぼっちがいました。

デートスポットの定番、お台場。そのお台場の海岸で、クリスマスの海に飛び込む。真冬の海に身を放るという開放感と、海岸沿いに座り込むカップルたちの視線を浴びる快感。その刹那、次の瞬間には刺さるような痛みに襲われます。

ちなみにこれをやったとしても、「大丈夫?寒かったでしょ?」と笑顔で迎えてタオルを渡してくれる人も、クリぼっにはいません。あるのは、周りの人たちからの一層寒々しい視線と、真冬の冷たい海風だけ。これをもってして、風邪をひかないのは皮膚感覚が麻痺している人くらいなので、実行はオススメしません。

なお、来たるお正月まで台無しにするリスクも伴っているので、その点も十分ご注意ください。

 

3 自虐を超えてもはや献身!「非リア叩き」

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クリスマスは、カップルのための日ではなく、本来はキリストの誕生日。うかうかデートをしたり、夜通し騒ぎ倒したりするのではなく善いことをして1日を過ごそう。そう考えたクリぼっちがいました。

そんなクリぼっちはサンタクロースのコスプレをし、大きなピコピコハンマーを手に持って、街に繰り出しました。街ゆく非リア充に声をかけて、自分たちを叩くように促します。題して「非リア叩き」。人は、自分よりも弱い立場の人をみると安心するという悲しいさががあります。彼らは、街ゆく非リア充に自分たちを叩かせることで、「自分よりも辛い人がいる」ということを表現しているのです。そうして聖夜に迷える子羊たちの心を、一人づつ救っていくわけです。その姿はさながら聖母マリアのようですね。

ちなみにこれをやったとしても、誰かに褒めてもらえるわけでもありません。あなたのマリア様が現れるわけではありません。出会えるとしたらせいぜい、職務質問をしてくる警察官くらいじゃないでしょうか。警察官に何をしてるか聞かれても、答えるすべがないのでオススメはしません。

 

いかがでしたか?

これだけエピソードをご紹介してきましたが、クリぼっちは本来恥ずべきことではありません。クリスマスはただの平日であって、お仕事の方もいらっしゃいます。ひとりで過ごすからといって、なにも奇行に走らなくていいんです。

とはいえ、今年もクリスマスに狂わされた悲しき人々が現れるでしょう。見かけた方は、ぜひ私までお知らせください。

では、みなさん!素敵なクリスマスをお過ごしください!