オーストリア人と家族になるということについてお伺いします

竹中
レッシュさんは義理のご両親と、お子様の関係っていかがですか?

レッシュさん
義理の両親、子育てにすごい口出ししてくるんですよ

竹中
あ、そうなんだ(笑)

島さん
お疲れー(笑)

レッシュさん
夏休みとか、学校から宿題出るじゃないですか。毎日ちょこちょこやらせますよね。そうすると、「休みなのに宿題とかやらせて!」とか言われます。バイオリンの練習をやらせてても「お誕生日くらい練習させなくても」とか。すごく貪欲なお母さんみたいに思われてるんだけど、これって普通じゃない?

島さん
じゃあ子供に漢字とか書かせてる私は鬼だね(笑)

竹中
鬼嫁ですね(笑)嫁姑問題は周りで聞きます?

レッシュさん
オーストリアで?私は、一緒に住んでいるわけじゃないからそこまでではないけど、私の周囲で同じようなこと言ってる人結構いますよ。オーストリア人は日本人が子供に圧力をかけすぎと思ってしまうみたい。私の子供達なんてかなり自由時間ありありなのに、、(笑)

島さん
学校自体がぬるいもんね

レッシュさん
午前中で小学校から帰ってくるんですよ。8歳、9歳で午後の授業なんていらないってみんな思ってる。家で勉強や練習させてるといじめ扱いされますもの

竹中
やはり国によって感覚の違いってあるんですね

レッシュさん
子供が赤ちゃんだったころからですよ。ヨーロッパの人って赤ちゃんをいきなり子供部屋で寝かせるじゃないですか。私は添い寝していたんですけど、「いつまでも添い寝なんてしてるから甘えて寝ないのよ」とか言われました

島さん
最近は添い寝してる子のほうが病気になりにくい、なんて研究結果もあるのにね。結果、自分がしたいようにするべきなんだよね。そういう文句は旦那さんに言ってくるの?

レッシュさん
二人に。私の主人は、何かあったら矢面に立ってはくれるんだけど。結婚したばかりの時は、家に帰ってきたら義母の提案通りに勝手に模様替えされてたり、キッチンの物の置き場が変わってたりしたこともあったんですよ

竹中
それはうちもありましたね(笑)

レッシュさん
でしょう?ずっと何も言わずに受け入れていたんだけど、ある時爆発しましたね(笑)で、「好きなようにやらしてください!」って言ってしまいました

島さん
それでも、めげてないからまだ言ってくるんだよね(笑)

レッシュさん
(笑)そう。でも、わたしも今は言い返します

竹中
こっちの人は強い口調でばんっと言っても、そこまで深刻に受け止めないんですよね。私はすごいびっくりしちゃうんですけど

レッシュさん
そうなの。だから言っちゃった方がいいのよ

竹中
レッシュさんはオーストリア人と結婚して良かった、と思うことはありますか?

レッシュさん
旅行が好きということと、アウトドアが好きというところ、行動的というところかしら?あと、主人が家事とか何でもやる

竹中
それ、全然うちと一致していないから、恐らくオーストリア関係ないですね(笑)

島さん
個人差!(笑)

レッシュさん
えー。(笑)じゃあ個人主義なところとかな。あと、家族を大事にするところ。うちの主人あまり友達いないし

竹中
それは、うちもそうです(笑)

レッシュさん
そうそう、だから休みは殆ど家族で過ごす事が多いです。家族が一番

竹中
うちも「家族は神聖なもの」って常に言っていますね。カトリックだからなのかな?

レッシュさん
それもあるかもね。教会行くとかそういうのではないんだけど、家族は大切にしますよね

竹中
日本はまたちょっと違いますよね。仕事が神様みたいなところがある

レッシュさん
そして、もうちょっと物質主義かもしれませんね。

竹中
良くないところは?

レッシュさん
あまりに緩すぎるところ?宿題とかパパにチェックしてもらうじゃない。そのあと、私が見ると間違いだらけなの

島さん
「見たよ!良くできてる、天才!」とか、そんな感じだよね、こっちの人

竹中
本当に「見た」だけなんですね(笑)

レッシュさん
そうなの。「見た」だけ!(笑)あと、結構時間にルーズ。私もそんなに待ち合わせに早く来るタイプじゃないんだけど、30分とか遅れてきても平気なのよね

島さん
30分くらい遅れてきて、ものすごく偉そうに現れるよね、オーストリアの人(笑)

竹中
個人差はありますけど、確かにルーズな人は多いかもしれませんね。理解できないところとかあります?

島さん
夜ご飯がパンとチーズとか?(笑)

竹中
わかります。あれは悲しいですよね(笑)

オーストリアで女性として働くこと

竹中
島さんはオーストリアでご就職をされていますが、働きやすさはいかがでしょう?

島さん
驚きの働きやすさだね!

竹中
というのは?

島さん
職場がたまたま男女関係無いというのもあるけど、女だからこれやれ、みたいのが何もない。会社として女だから、子供がいるから、といって不利な扱いをされたことは一秒もなかったと思うね

レッシュさん
すごい、それ

島さん
あと、男女限らず、家族が病気になったときの休暇があるよね。その時休める制度っていうのは素晴らしいよね

竹中
うちにもある。2週間とかだったかな

島さん
うちは、家族一人につき5日間かな。あとは引っ越し休暇が取れたり、働く仕組みがすごい進化している。日本で働いていたのがずっと昔のことだから上手に比較できないけど。とは言っても社会的には、女性の方が平均賃金低いと言われてるみたいだよね

竹中
それはそうみたいですね

島さん
育児休暇などを取るから総合的に賃金が下がるということなのかな

竹中
休暇を含めなくても、基本的に低いようですね

島さん
そういえば、10年くらいのオーストリア生活で、専業主婦の奥さんてほとんどみたことないな

レッシュさん
オーストリアに住んでいる日本人で専業主婦をされているという方は結構いますよ。そう言えば、お隣りさんも専業主婦だな、、御夫婦ともにオーストリア人、御主人司法書士ですけど。。

島さん
珍しいね。オーストリア人の女性で専業主婦は本当に少ないよ。私、10年のウィーン生活でたぶん一人しか知らない。トルコ系、旧ユーゴ系は結構いるかもね。

竹中
自分で自分の年金とかなんとかしなくちゃいけないですからね。とは言っても、産休育休などがあると、休みをとるのは女性の方ですし、結婚して運命が変わるのはやはりオーストリアでも女性の方だと思いますね

島さん
それは万国共通よね

日本のこんなところが良い!

竹中
最後になりますが、教育面で総合的に、日本の方が優れているなあと思うところはありますか?

レッシュさん
平均点が高いところ

島さん
学校の先生が、人間として面倒みてくれるところ。いじめとか

竹中
こっちはない?

島さん
ないよ。担当の人がいるから、そっちに行ってね、って感じ

レッシュさん
我関せずなのよね。私の仕事じゃない、って

竹中
あー、それよく言われるわ、年に50回は言われる(笑)たらい回しにされるやつね

島さん
学校の先生が気分のままに怒るとか、遅刻するとか、日本はそういうのあんまりないじゃない。先生が大人として対応してくれるよね。

竹中
だから、先生の悩みも深いのよね

島さん
人間教育という面では、オーストリアは宗教や教会が担っているという印象ね。

竹中
以前ドイツ人の友達に、「日本人は神様信じていないのに、どうして悪いことしないの?」と真顔で尋ねられて、思わず言葉を失ったことがあります。調和を重んじたり、人に迷惑をかけない、人の嫌がることはやってはいけない、などという道徳観念の高さは、日本人は抜きんでたものがありますよね。それは、日本の教育の賜物ではないでしょうか

 

「オーストリア教育あるある」話、いかがでしたでしょうか?日本人の皆さんにも、どこか共感できる部分はありましたでしょうか?
本当に違うことだらけの日本とオーストリアの教育システムや価値観。
でも最終的には、国が違っても私たち子の親が願うことはただ一つ、「子供たちが健康でハッピーだったらいいや」という島さんのセリフに集約されているような気がしました。