世界で最もホットな場所の一つと言われる街、ベルリン。
急成長を遂げるアート・シーン、国際的なスタートアップ、クラシックからクラブまで幅広い音楽、常にどこかで開催されているコンテンポラリーのダンスやデザイン展・・・
と、市民の多くがクリエイティブ産業を楽しみ、携わる環境が整っています。
そんなベルリンに住み、ここを拠点に活動する日本人も、アーティスティックで個性的な人々が多い!
インタビュアーである私、Graceもベルリンを拠点にフォトグラファーとして活動しています。
これから、実際に出会ってきた、個性的な顔ぶれにスポットを当てていきたいと思います。
初めてのゲストとして、私のファッション撮影でメイクアップを担当してくれた、Sayuri Nakamuraさんにお話を伺いました。
今日はよろしくお願いします!Sayuriちゃんは、メイクアップアーティストなんだよね?
一応ヘア・メイク両方かな。
そもそもなぜ、ヘアメイクアーティストになろうと思ったの?
もともと私の肌が弱くて、荒れやすくて、コンプレックスだったんだ。
ベルリンに来てからも、環境の変化でちょっと荒れちゃったりね・・・
でもメイクすれば結構気分が変わるじゃない?
私と同じような悩みがある人に、私のメイクで少しでもプラスになってほしいな、と思ったのがきっかけ!
日本にいた時から?何年くらいやっているの?
11年くらい。学校はファッション関連の短大で、メイク科を卒業しました。そのあと、最初はオーストラリアに行ったの。
オーストラリア、イギリス、カナダ、ドイツでのキャリア
オーストラリアだったの??キャリアのスタートが、いきなりオーストラリアっていうのは面白いね。
短大時代に、学校のホームステイで行ったことがあって、そこで海外に目覚めて。
卒業して、就職せずにすぐオーストラリアに行ったのね。そこで日本人のヘアメイク・アーティストに出会ったり、現地のサロンで働きながら勉強して。
そこから、すっかり海外に魅せられちゃって・・・
オーストラリアと言えば、フルーツ・ピッキングや農業をする人が多いけど、どうやってサロンでの仕事を見つけたの?
シドニーに住んでいたから結構日本人が沢山いたし、日本人経営の美容院やヘアメイク関係者が多くて、その人々から色々聞いて勉強した。
そこで「ヘアも出来ないとね」と言われて、美容学校行って免許取ろう!と思って地元に帰ったんだよね。
地元は・・・
名古屋!
ブライダルサロンで働きながら、美容師免許を取ったよ。
何年くらいかかった?
5年かな。
名古屋で働いている間、海外に出ちゃいたくなりそうだね。
そう!しかも女性ばかりの、すごく厳しい環境だったから・・・
でも3年は続けようと思って、結局5年頑張って。
ブライダルのヘアメイク、エステ、着付け、一般サロンでのシャンプー等もやったし、顔そりとか、美容関係全般やったかな。
その後、ロンドンに行ったんだよね?また海外に行こう!となった切っ掛けは?
ずっと遊んでた幼馴染とタイミングが合って、私が行こうと思ってたときに、ちょうど彼女も会社やめてワーホリ行きたい、ロンドン行きたいね!って言ってんだ。
そうして、2011年の4月から本当に行くことになったの。
幼馴染と一緒だと心強いね!ロンドンにはどれくらい居た?
2年間!
ロンドンは・・・本当に楽しかった!
オーストラリアでの生活とは、また違った?
オーストラリアに居た頃は何もできなかったし、お金も仕事も無かったし、若かったし・・・
今だったらもっと楽しめるとは思うんだけどね。
でもロンドンではすべてが新鮮で、色々やってみた。
ホテルのスパで働いたり、美容院、ヘアメイク撮影、ファッションショー、ブライダル、、、生活費が高いから本当に色々やった!
旅行もあちこち行ったしね。
お!どんなところ行ったの?
ヨーロッパ各地!フィンランド、パリ、ベルギー・・・2年の間にヨーロッパ行っておかなきゃ!って思ってあちこち。
せっかくだものね。私も北欧はまだ行ったこと無いから、今のうちに行かなきゃ!
ロンドンで色々なジャンルの美容関係で働いてみて、日本ともオースラリアとも違う「ロンドンらしい」文化って有った?
ちょうど私が居たときに、ヴィンテージ・ヘアメイクが流行っていて。髪の毛をくるくるとロールするの。特にそういう系統のお店で働いたから、敏感に感じたかな。
ロンドンには古着屋さんも多いじゃない?私もたまに古着屋めぐってみたり。
いいなーロンドン。ファッションやカルチャーに敏感な層が多い感じだったのかな?
そう、やっぱり個性的な人が多いし、フレンドリーかな。
例えば、地下鉄に乗っていて「その服お洒落だね」「その靴いいね!」って普通に言われるの。
ベルリンはそういうこと、あんまり無いよね。
ベルリンはそもそも、お洒落な人が少ないかと・・・
でもロンドンだと普通に喋りかけられたりとか、フレンドリーだったりする。
じゃあその日のファッションが、会話の切っ掛けになったりとかもするんだね。
そうそう、何を着ててもいい、自由で。
ベルリンだとカラフルな服を着てると浮くけど、ロンドンでは色々自由に着てたかな。
ベルリンは「黒」が制服みたいだもんね。ロンドンからは何処へ?ドイツに直接来たの?
1年日本に帰って、ブライダル・ヘアメイクやったんだけど、海外行きたくてしょうがなかったから。実家に住んでお金を貯めて・・・で、トロント行ったんだ。
カナダのトロント!
そう!ワーホリ行けるとこ!と思って。
ちょっと寒そうだ!笑
だから、本格的な冬になる前に日本帰っちゃったけど。7ヶ月くらい居たかな。
トロントの美容シーンはどんな感じだった?
トロントでも、サロンでまつ毛エクステ、ワックスを中心に働いてたよ。
ヘアメイクも時々やってたけど、あんまり撮影のチャンスとかは無かった感じがする。
「お金払ってくれれば撮りますよ~」とは言われたけど・・・
元々の美容コミュニティが小さかったかな。
「ぎりぎりだけど、何とかなる」海外での仕事探し
シドニー、ロンドン、トロント、ベルリン・・・どうやって各地で働くサロンを見つけてきたの?
私はけっこう適当!
まず最初の一週間の宿だけ取って、その間に家探して。
家が決まったら、あちこちにCVとかを持って行ったり、メールを送って仕事を探したかな。
とりあえず現地に行ってから!
パワフルだね。具体的には、何件くらいメール送る?
トロントではタイミング良く一発で決まったけど、ベルリンではなかなか見つからなかった。
ドイツ語もできないし、最初はすごく苦戦したよ。家も見つからないし、市役所もドイツ語だけだし・・・
ヘアメイクの事務所、サロン、美容院、まつげエクステ、と色々なジャンルの美容関係のオフィスに20~30軒コンタクトしてみた!
そうして丁度、今働いてるところが、人を増やしたいってことで面接して決まったんだよね。
やっぱり沢山送るんんだね!
私も経験あるけれど、送ったメールの殆どは帰ってこないじゃない?そこで心折れてたらだめなんだね。
私は基本的にコネクションが無いし、いつも知り合いの居ない所に行ってるから。。。
ぽん、と知っているコミュニティが無い所に飛び込むのは、怖くなかった?
怖くはないかなー。何とかなる!
いつもぎりぎりだけど、それでもぎりぎり何とかなってきた。
「何とかしてきた」んだから、すごい!
そうやってずっと各地で続けてきた「ヘアメイクアーティスト」っていう仕事はどういうところが大変で、どういうところが面白い?
どうしたらベストなヘアメイクになるか?
っていつも考えてる。
それが一番難しいけど、面白いところだとも思います。
コンセプトや好みの違いだけじゃなくて、人種による肌質や髪質の違いもあるもんね。私の撮影をしたときも、色々考えてくれてたよね!
あの時はフェミニンな感じがリクエストだったから、モデルの長い髪を生かして、ウェーブを作ってみた。
外でのロケ撮影で、機敏に口紅の色を変えてくれたのも印象に残ってるよ。
背景になる壁の煉瓦の色に合って、かつ安っぽくならないように、濃いワインレッドのリップにしたね。
モードっぽく、かなり強めのメイクを頼んだときも・・・
メイクがガッツリで、服も個性的なドレスだったから、その分ヘアはあっさりアップにしようと思った。
その節は大変お世話になりました!Sayuriちゃんの仕事やポートフォリオ(ホームページを参照)も見ていると、色々なジャンルの中で、最善のヘアメイクにいつも挑戦してきたんだろうなって感じるよ!さて、トロントからは日本に一旦帰ったのかな?
そう。また元々働いていた所に戻って、しばらくブライダルを中心にヘアメイクしてた。
でもワーホリも最後の歳になったし、ロンドンに一緒に行った友達と「ベルリンにまた行きたいね」って言ってたので。
2015年の7月にベルリンに来ました。