おおぶりな鞄を抱えて、その青年はあらわれた。どこか異国の雰囲気を漂わせる独特の雰囲気。目つきは鋭く、いかにもただものではないといった雰囲気だ。
挨拶をすると、彼は一瞬挙動不審になりながらも、挨拶を返してくれた。彼の名前は宗治郎。年齢は秘密。現在の職業、ギタリスト。

 

soh

 

ーこんにちは。

こんにちは。どうも、はじめまして。アンライヴァルドというユニットのギターをやっております宗治郎です。

 

ーいきなりアレですけど、すごい名前ですね。

宗治郎がですか?

 

ーそうです。本名ですか?

はい、名字をとっただけですね。名刺には名字載ってます。

 

ー直接会えば名刺もらえますか?じゃあください。

どうぞ

 

ーありがとうございます。あ、「次」じゃないんですね。

そうなんです。僕長男なんで。次という字は使わないと思います。

 

ー名前間違われません?

名前を説明するときは、宗教の宗に政治の治、郎は月じゃなくおおざとの方です。と言います。

 

ーその説明だとわかりやすいですけど、なんか大げさですね。

それしか説明できないですからね。政治の治じゃなくて次ならすでにミュージシャンでいるらしいです。

 

ーかぶるのはイヤですもんね。

まあ別にいいんですけどね。

 

ーいいんだ。

その方と共演するのが夢です。

 

ーたぶん、おい宗治郎!なんだ宗次郎!ってかんじで、けっこうややこしいですね。仕事はギタリスト、エレキですか?

アコギです。前はエレキだったんですけど。

 

ーあ、じゃあ今持ってるそれがそうなんですね。なんかぱたぱたずっと叩いてるけど、ミュージシャンの性ですか?

はい。ただ単にギター弾くだけじゃあおもしろくないので叩いてみました。というより、アコギ弾いてる人は自然とそうなります。

 

ーと、言いながらもずっとボディを叩いていますね。音楽大好きって感じ。

時間があるときは、一日中弾いています。一度、ギターを弾くのを何日我慢できるかって言う実験したんですけど。

 

ー結果はどうでしたか?

10分経ったら、気がついたら弾いてました。

 

ー短っ!

ギターがなかったら、僕生きていけないかもしれません。

 

ーまた叩いてる。壊れたりしません?

このギター買ってから10年経ちますけど

 

ーもう相棒ですね。

最初はエレキばっかりだったんでぜんぜん使ってなかったんです。

 

ーやっぱりロックバンド?

はい。僕、B’zが好きで。最初はエレキばっかり弾いてました。

 

ーギターの勉強は独学ですか?

いえ、専門学校に行って習いました。大阪です。

 

ー一人暮らししたんですね。

寮に入りました。
専門学校行ってから始めたんで、最初は一番下のへたくそグループで授業受けてました。

 

ー基礎からみっちりですね。

そうです。学内で毎年ギターコンテストがあったんですけど、一年目はさんざんで、途中で演奏止めてしまって。

 

ー大事件ですね!

はい。それで、こんなんじゃあかんなと思って、一年みっちり練習しました。好きな人が居たので、いいかっこ見せようと思って。

 

ー翌年、どうなりました?うまくなってましたか?

優勝しました。

 

ーええ!?

といっても、学校内で、大阪の分校なんで、大したこと無いです。でも東京の本戦までいって、いい経験になりました。

 

 

ー最初はエレキ、でアコギを使い始めてからはどれくらいですか?

何年やろ。よく使うようになったのは二年前からです。ライブの本番直前にボディがパカっと割れそうになりました。

 

ーえっ、それどうしたんですか。

そこのライブハウスの人に接着剤借りました。

 

ーそれ大丈夫なんですか?

それからなんともないですよ。接着剤は神!