オーストリアの小学校ってどんな感じ?

竹中
クラスの大きさってどのくらいなんでしょう?

レッシュさん
一般的なのは1学年に2から3クラス。1 クラスが25人がマックスかな。

竹中
結構多いんですね。授業の内容はどんな感じですか?

レッシュさん
時間割お見せしましょうか。これ、一般的なものだと思います

 

Foto

レッシュさん
公立の小学校の時間割りです

島さん
Gってなに?

レッシュさん
一般教育(Gesamtunterricht)の略ですよ。国語(ドイツ語)と算数の授業なの。3年生からはここに理科、社会(Sachunterricht)が入ってくる。

竹中
2年生までは国語と算数しかないってことですか

レッシュさん
ない。少なくともうちの学校にはないですね

島さん
国語と言えばね、外国語を話す子供たちは、ウィーン市の補助で週に数時間ドイツ語の補講を受ける権利があるんだよ

レッシュさん
うちの子たちも、その補修受けさせたことあったんだけど、全然ちゃんとやってなかったな

竹中
ちゃんとやってなかったというのは、子供が?学校が?

レッシュさん
学校が。お絵かきとか、神経衰弱とかやってました。先生は補修と言いながら週2回やってたんですけど、これじゃあ、、、と思いましたよ

島さん
でも、それは先生の問題じゃない?その先生は、きっとクラスの授業でも同じようなことやってたと思うよ。うちの子供たちの学校、4年生の宿題が塗り絵だったもん

レッシュさん
それは、、(笑)

竹中
(笑)

島さん
だから、多分オーストリアでは普通なんだよ

竹中
オーストリアの小学校のレベルってその程度ということですか?学校での勉強の進行は、どのような感じなのでしょう。

レッシュさん
1年生でアルファベットを一から習い、2年生で筆記体、算数は掛け算と割り算。3年生は3ケタの足し算、割り算、筆算とか。

島さん
算数、すごい分量を頭の中でやらされるよね

レッシュさん
暗算、すごいやらされてる

島さん
日本って、掛け算も割り算も、筆算でやらなかった?繰り上がったのすら書いてたじゃない。でも、こっちは暗算なのよね

レッシュさん
そう。始めに暗算ばかりやらせるの。それから筆算が始まるのよ。

島さん
私たちから見れば、何やってるかちんぷんかんぷんよね

竹中
聞いてる分には、すごく日本より遅れてる感じはしないのですが

レッシュさん
算数は日本より大体半年くらい遅れてる、と言われていますね。ただ、やり方が違うんですよ。1の段、2の段とかやらないで、1年生で14は2の7倍、とか、掛け算の原理みたいのを習っています 日本の九九の様な覚えさせ方はしないという事です

竹中
システムが違うから日本と比べるというのは難しいですね

レッシュさん
時間割りに戻りますけど、BWSというのは体育ですね

竹中
週に1,2、3。。。?3回も体育あるんだ。多いですね

島さん
でも、ウィーンって校庭がある学校って少ないよね

竹中
無い場合は?

島さん
体育館で授業よ

竹中
図工(Werken)も一応1時間だけありますね

島さん
1時間しかないの?

レッシュさん
そうなんですよ。2時間ある学校もあるみたいですけど

竹中
Rは?

レッシュさん
Religion。宗教で週2で授業があります

島さん
カトリックの人だけが受けるの。だから大抵の学校では宗教の授業は1時間目か最後の時間になっていて、この授業を受けない子どもは、2時間目から来たり、早く帰ったりする

竹中
でも、この時間割りでは真ん中に入っちゃってる

レッシュさん
こうなっているときは、授業を受けていない子を集めて、他の授業をしていたりしているみたい

竹中
宗教が時間割りに入ってるところを見ると、やはりカトリックの国だなあと実感しますね。

島さん
市ではカトリックだけでなく、オーソドックス、モスリム、プロテスタントなどの授業も提供しているんだよ。

竹中
そんなにいっぱいあるんですね

島さん
それらの宗教の子たちは、週に1,2回放課後に集められて授業を受ける。やっぱり圧倒的に少ないから

竹中
でも、公立の学校の宗教の授業はカトリックだけ?

島さん
そう。ドイツでは、エティック(倫理)ってのも選べるらしいよ

レッシュさん
日本の道徳みたいなやつ?

島さん
うん、でもオーストリアにはそれがないんだよね。

竹中
ところで・・音楽の授業・・無いですね・・・。

レッシュさん
音楽なんてない、本当に

島さん
うちの子たちの小学校では、音楽は情報の授業と交代で隔週であったかな

竹中
学校によって違うんですね。情報というのはパソコンとかですよね

島さん
そう。いや、音楽の扱い本当にひどいよ。音楽室なんてね、物置みたいな部屋にアップライトのピアノがおいてあるだけだった。日本みたいにベートーベンとかシューベルトの肖像画とか飾ってないし、驚きだったよ

レッシュさん
それでも、あるだけましですよ!

島さん
私立だったからあったのかな

竹中
公立は?本当に全くなし?

レッシュさん
ないですね。「音楽」っていう授業は。ちょっと歌を歌ったりマラカスやタンバリン、カスタネットなどを使って授業とかはしてるみたいですけど

竹中
それは、何の時間に行われるんですか?

レッシュさん
普通の、国語とか算数の共同授業の時間に。だからドレミもやらないし、笛もやらないし。やりたい人は勝手にやってくれみたいな

竹中
ウィーンなのに!(涙)

島さん
ギムナジウムからは、音楽の授業もちゃんとやるようになるんだけどね 娘はギムナジウムの音楽ではオペラ「魔笛」の演出を比較したりしていたよ。この落差!

竹中
ところで、時間割りに給食や掃除の時間などが書き込まれていませんけど、オーストリアにそういう時間は存在しているんですか?

レッシュさん
掃除の時間はないですよね!子供たちは、掃除は掃除のおばさんがやるもんだと思っているから、机とか平気で乗るし・・。日本に行くと、子供が共同の物をすごくきれいに使っていて感動します

竹中
でも、日本人のほうが自宅の部屋は汚くありません?(笑)

島さん
家はね。(笑)オーストリアは、自分の物は綺麗に使って、みんなのものを汚く使うのよ。日本は公のものは大切に使って、プライベートのものは好きにする。逆だよね

レッシュさん
日本は学校も隅々まで雑巾で綺麗にしていますよね。こっちなんて誰もしない

竹中
掃除の時間はなくても、給食の時間は存在しますか?

レッシュさん
私、夏に子供二人とも日本の小学校に体験入学させたんですよ。子供たち2人とも日本の給食の時間楽しみにして行ったんですけど、実際に体験したら、ものすごく戸惑っていましたね。

竹中
それはどうして?

レッシュさん
みんなに給食を配り終わるまで待って、みんなでで一緒に「いただきます」をしてみんなで同じものを食べるということが、とても新しかったみたい

竹中
オーストリアはそうではない?

レッシュさん
うちの子たちの学校には給食の時間というのがないんですよ。だからいつ食べてもいい。学校にお弁当箱持って行って、パンとかチーズとかね。甘いものはダメなんだけど。休憩時間に勝手に食べる

島さん
うちの子たちの学校は、給食があったな。お金払うし、日本よりずいぶん給食費高いんだけどね。1か月60ユーロくらい。でもみんな揃っていただきますじゃなくて、学食みたいなところで勝手に食べる

竹中
聞けば聞くほど個人主義ですね

レッシュさん
好き勝手とはちょっと違うと思うんですけどね、、比べないっていう感じ?日本人って協調性をものすごい大事にするじゃないですか。調和をね。日本人は合わせようとする。オーストリアで、それはあまりないですね

竹中
そうなんですね!話は変わりますが、オーストリアの小学校にテストというものはあるんでしょうか?

レッシュさん
うちの学校ではやっていますけど、テストなんて全くない、という公立校もあるそうですよ

島さん
シュールアルバイトは4年生だもんね

竹中
シュールアルバイトってなんですか?

レッシュさん
期末試験のようなもの。ドイツ語と算数だけ。その成績でギムナジウムに行けるかどうかが決まっちゃうわけ

竹中
小学校4年間の総体性のテストというわけですね

島さん
4年生の1学期に受けるから、3年間の総体性かな

レッシュさん
4年生の1学期に2回あるんですよ。10月にいきなり1回目があるのよね

島さん
オーストリアでは9月から1月末までが1学期なんだけど、その時にギムナジウムがもう決まる。2学期はあまり関係ない。

竹中
でも、それだと普段成績がすごく良くても、その時たまたまできなかったりしたら最悪じゃないですか

レッシュさん
もちろんそういうこともある

島さん
でも、授業態度とかもあるのよ

レッシュさん
3年生くらいから小テストみたいのもやり始めるから、それでずっと満点近かったのに、4年生のテストで失敗したからといって、すごい悪い点数がつくとは思いにくいかな。でも、先生次第かなあ

島さん
先生と、先生との人間関係ね(笑)

レッシュさん
まさに、それ

 

学校の先生はどんな感じ?

島さん
仕組みとしてオーストリアの学校にはクラス替えが無くて担任替えもないの

竹中
えっ!

島さん
だから小学校4年間、ギムナジウムだったら8年間同じクラスの同じ先生

竹中
それは・・当たり外れが結構・・

レッシュさん
あります

島さん
合う合わないもあるよね

レッシュさん
先生だけでなく、クラスメイトにも合う合わないがありますよね

竹中
先生やクラスメイトと合わなかった場合、どうするんですか?

島さん
クラスを変わる

竹中
え、変えられるの?

島さん
うん、学校変える子もいる

竹中
学校変わるならわかりますけど、隣のクラスに変わるのって、むしろ気まずくないのでしょうか

レッシュさん
そういうの、結構普通なんだよね

島さん
うん、普通

レッシュさん
気まずいとかないと思う

島さん
飛び級とか学年下げたりとかも普通だし

レッシュさん
落第も普通にあるし

竹中
オーストリアでは落第って悲劇的な出来事じゃないんですか?

レッシュさん
全然!自分から「やり直します」って自己申告して落第する人も珍しくないですね。オーストリアでは、どんどん先に行かせるより、ゆっくりやりな、みたいな感じなのよね。先取り学習の為の塾っていうのが日本みたいに無いでしょ

竹中
無いんですか?

レッシュさん
遅れた子をサポートするものはあっても、先を勉強するみたいのはないですよね。遅れた子に無理させるよりは、もう一度同じ学年をやり直させた方が本人にとって良い、という風潮なんです。学校にカウンセラーもいて、親がその人に相談したりする

島さん
小学校のクラスでも、年が3つ4つ違う子がいるのは普通の環境なのよ

竹中
どの学年が自分に合ってるか、どうやって決められるのでしょう?

レッシュさん
入学式の前に校長先生と、校医と面談して決めるのよね。そこで1年遅らせたほうがいいとか、早めたほうがいいとか決める。

竹中
なるほど。授業の内容はどうでしょう?先生は結構まじめに授業してくれる感じですか?それとも人による?

レッシュさん
人による

島さん
人によりすぎる!

レッシュさん
小学校とギムナジウムでは、また違いますけどね。小学校では特に。教科書とか全部違うんですよ。クラスによって

竹中
え?!クラスによって?

レッシュさん
そうなの。先生によって違うの。同じ学年でも、隣のクラスと教科書が違うの。

竹中
それは、、本当にいい先生に当たらないと・・という感じですね。生徒が先生を選ぶことって可能なんでしょうか

島さん
選べる

レッシュさん
というか、希望を出せるんですよ。初めに

島さん
そう。入学する前にね。今4年生を受け持っている先生が次は1年生を持つじゃない?だから、その4年生のクラスを見学に行ったりする