「どういう身体の限度が見えるかな、と試す」自身の身体について

>>TATWERKのリハーサルは身体を感じるプログラムから始まりましたが、Takumiさん自身、身体のトレーニングはしていますか?

個人でもしています。ストレッチが基本で、必ず毎日行っています。
お風呂に入って時間をかけて身体をほぐし、それから限界以上にストレッチしていく。
昨日はここまでだったけど、今日はもっと・・・と動かして。
動ける幅やバリエーションが広がるようにと、意識していますね。
幅広く、でも深く、柔軟に伸ばしていく。

もう一つはリラクゼーション。
瞑想みたいなことです。身体の力を抜いて、何も考えない。
何か感じる事があったら、”あー”というサウンドで吐き出していき、身体もほぐして、どこに神経が通っている?どこが動いているか?
自分の身体に集中して、少しずつ感情をニュートラルにもっていき・・・ある程度に行くと、すごくリラックスできます。

 

>>実際のリハーサルでは、ご自分の身体をどう意識していますか?

リハーサル中の身体の動きは感情に任せています。その時、その場所で感じたものを頭で考えず直接身体で。
客観的に見るならば意識しているのは足腰です。サッカーで培った。
それを自分の強みだと信じ、ぶれのない、かつ柔軟で幅の広い動きができるように・・・他の人に負けないようにと。
いつもリミットを少しでも破るようにと試すようにしています。

 

>>見ていても、足のしなやかさに目が奪われました!身体を動かしているときの感覚を言葉にすると?

普段の日常生活では動かさない範囲、そのリミットを少しずつ広げていく感じです。

 

>>なるほど!実際の公演で身体を動かし演じるには、主観とオーディエンスからの客観があると思うのですが、その違いは意識しますか?

フィジカルシアターにおいて、今の段階では、僕自身が観客の目線に立つ余裕には、至っていないと思います。
観客の目で、観客の心がどう動いて、と考えるビジネス的な要素も、後々は必要になってくるのかなとは思うのですが、そこは今は振付師にまかせてます。

 

>>身体の動かし方・表現で、この人は凄い!という方がいれば教えてください。

オハッド・ナハリンです。
とにかく隙がない。特にダンスに関して、感覚も考え方も、とても共感できて。
彼のYoutubeなどをよく見るのですが、鳥肌が立つくらい、この人何者なんだろう?って。
彼は的確に見える目を持っている。本当に凄いです。
http://deadline.com/2016/03/mr-gaga-ohad-naharin-movie-clip-sxsw-1201716915/

https://www.youtube.com/watch?v=OGPG1QL1vJc

 

>>特に何が見えていて、隙がないのでしょうか?

簡単に言えば、表現者の1つ1つの身体の動きや、その動きの理由を的確に分析する事ができる。
つまり身体・感情を通さず、頭・理屈ばかりになっている身体表現に対しては、その動きに対して的確にそれを指摘することができる。
また表現者自身が気づいていないような事でも、それを気づかせるためのエクササイズを瞬時に思いつき、それを実践し、
表現者の舵を最良の方へ持っていくことができることです。

 

>>オハッド・ナハリンのようになりたい・・・?

なりたいです。目標が高く困難である程燃えます。
しかも負けるの嫌いなんです。
昔よくした鬼ごっこでも、鬼で終わるのが嫌だった・負けるのが嫌だったので。
ベルリンに来た以上、何か爪痕や結果を。ただ来た・ただ何かやった・ただ学んだ、ではなく、しっかり何かを残したいと思います。

 

Takumi_Bansho-5

 

 

「お客さんの心を動かすことが出来なければ、プロの表現者ではない」

>>舞台は振付師や監督が決定する事項が多いかと思いますが、その枠組みの中で、Takumiさんは表現者としてどうありたいですか?

アクターにせよダンサーにせよ、オーディエンスありきです。
来て頂いたお客さんの心を動かすことが出来なければ、プロの表現者ではないと教えられてきました。
ただ舞台に立ってお金を貰っているだけ、それは哀しい。
何か・・・心を動かせるように。まだまだ勉強中ですが、そういう表現者になりたいと、常日頃思っています。

 

>>Takumiさんのモノローグ、心を動かされましたよ!これからも俳優を続ける上で、大切にしていきたいことは?

大きな舞台に出ようが映画の大役が決まろうが、自分がどんなポジションに居ても、天狗にはならず常に努力し続けること、そして常に感謝の気持ちを忘れないこと。
それと同時に、自身に対して「もうちょっとできる」という、自分を成長させるような言葉を掛け続けてあげられる人間でありたい。
1秒前の自分自身に負けないように・・・負けず嫌いですから。

 

※この記事は、CIRCUS第2回特集「いいカラダ。」の記事です。

 

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Takumi Bansho(番匠巧)ホームページ
http://hlyodtr.wix.com/takumibansho

”KOMPANIE PROJEKT” 12月公演舞台
http://www.tatwerk-berlin.de/index.php/de/programm/performance-projects/104-kompanie-projekt?date=2016-06-16-20-00