コレペティとして働いていて嬉しかったことはありますか?
やっぱり、受け持った生徒が舞台に立っているのを見たときとかかなあ
日本の生徒さんならしてくれそうなものですけど!(笑)吉澤さんは?
私もそうかな。あと、出来上がりの作品をみて、ちょっと誇らしげな気分になるというか。私も一部は手伝えたんだな、っていう気持ちになる
オペラって本当、たくさんの人たちの気持ちが集まってできているのよね
オペラにも映画みたいにスタッフロールとかエンドロールが流れてほしいですよね
そんなことしたら終わらないよ!みんなお客さん帰っちゃった後でもずっと流れてるって。だって1000人くらいだよ、国立歌劇場の従業員。
1つのオペラには1000人くらいが関わっているんですか!終演後後の拍手はみんなのための拍手なんですよねえ。。
あとは、一回お仕事をした人や劇団やエージェントなどから次のオファーを受けたときかな。それが私たちには一番の評価なのよね。歌手みたいにどこかに批評がのったりする仕事じゃないから
コレペティをやっていて嫌だったことはありますか?
オーディションで落ちた人が、コレペティのせいにすることかな
テンポが悪かった、歌いにくかった、それで私の実力がでなかったとか言うのよ
ごめんなさい!落ちた時は誰かのせいにしないとやりきれないの、、。(笑)って、まさか面と向かって文句を言ってくる訳ではないですよね?
言うのよ!私が落ちたのは私のせいじゃないってみんなに言うのよ
そんなことしても何の意味もないんだけどね。聞いている人も嫌な奴だな、と思っているだろうし
わかっててもさ、やっぱりいやじゃない?私のせいで本当に落ちたのかな、とか時々思っちゃう
面と向かって言ったり、周囲に言いふらすのはさすがに大人げないと思いますね
私が嫌だったのは、やっぱりオーディションネタ。あるオペラのキャスティングのオーディションがあるから来て、と頼まれたの。いつものようにかなり直前になって。オペラの楽譜は一応PDFで送ってもらったんだけど、どの役かも、どの箇所かも全くわからない。前日までどこを弾くのか全くわからないままだったので、一応オペラ全部を勉強していくわけじゃない。そして当日、会場に向かっていたときに電話がかかってきて、「歌手が病気になったので、今日のオーディションはなしです」と。
その時はさすがにキレて「キャンセルだけどお金は頂きます」って
お金はもらったけど、オペラ1曲まるまる勉強したんだよ。でも、先方はお金出すのずいぶん渋ってたんだよ。ないよね!
それは生徒さんとか歌い手さんにドタキャンされるということですか?
そんなの、ドタキャンと言えないくらいしょっちゅうある。
朝起きたら声が出ないの、とか。ドタキャンされたら、その時間はその人達のために空けていたわけだから、本当は他の職業と同じようにお金取らなくちゃいけないのよね。でも、それはなかなかね。。コレペティでドタキャンされてお金取る人っていないから。
楽器のレッスンもそうですね。生徒さんがお休みされたら、レッスン代は頂けませんものね。だからお月謝という形をとるお教室が多いですよね
劇場の練習がなくなるのはいいんだけどね。お給料もらってるわけだから。でも、仕事に行ったら、いつの間にか練習がキャンセルになってたみたいで、誰もいなかったってことたまにあるのよ。
コレペティって忘れられることが多いのよ。連絡しなきゃいけないってことを。
そうなの!いなくて初めてみんな大切さに気づくのよ!
だって、コレペティがいないと、練習って全く成り立たないのよ。私たちが来なかったら指揮者困っちゃうのよ、本当に。でも、もし指揮者がいなくて、どうしても練習しなくちゃってときは、私たちががいればなんとかなるじゃない
他にはねえ、コレペティ用に楽譜を持ってくるのを忘れてくる歌手とかいるのよ。楽譜も渡さずに、自分だけ歌う準備とか始められても、何の曲歌うのかもわからないじゃない。で、「楽譜は?」って聞いてみたら「え?持ってないの?」とか聞き返されちゃったりして
なんの曲歌うのかも連絡されてないのに、テレパシーでもなければ楽譜は持って行けないでしょ!でも、本当にあるのよねー
なんでコレペティって、そんな忘れられちゃう運命なんですかね?
ヨーロッパの公立音大だと、コレペティのレッスンに追加でお金はかからないからね。卒業してから自分で個人的にコレペティをお願いしようと思ったとき、お金がかかることに気づいて、やっとその貴重さを知る生徒も多いんじゃないかな。劇場専属の歌手には必要なコレペティが自動的につくけど、フリーの歌手は自分で雇わなければならないもんね。