人脈は自然とできるもの
-世界へ飛び立つほどの行動力。知り合いも多そうですね。山梨県民はだいたい友達って言われても信じます。
いやいやいやいや。そんなに知り合い多くないですよ。確かにお店をやっているんで、周りには割と有名な方とか多いですけど。
-そういった人脈を使って独立。そういうサクセスストーリーですか。
あんまりそこを重要視したことはないですね。よく聞かれるんですけど、僕の場合は店をやっていて結果増えてったって感じです。
-私なんてライターの仕事やるためにゴマ職人以上にゴマ擦ってますよ。なんなら靴舐めましょうか?くらいに考えてます。
店を始めたい人って、人脈を作ってからって思うかもしれませんが、僕なんて何もないゼロからのスタートでしたから。スポーツやってたんですけど、結局あの世界も自分の実力じゃないですか。結果を残せないと、人なんて一瞬で周りから去っていく。友達1000人いても経営はできませんよ。
-あ、今ジーンときた。え、年下ですよね?爪の垢飲ませてもらっていいですか?
それは嫌です(笑)結局好きなことに熱心に取り組んで、結果が伴っただけの話ですから。ライターさんの仕事もそうじゃないですか。面白いものを書けなければ人が離れてくだろうし。
-確かにその通りです。じゃあ今すごく大きな企業から好待遇で誘われたらどうしますか。
無理ですね。もうこれしかないって腹を括ってるんで。自分の力で何かやらなきゃならない、ってずっとお店の開業にだけ向かってましたから今さらサラリーマンは無理です。
-そしてコーヒーに出会った、という話に戻ってくるわけですか。ただコーヒー以外にもフード類とかありますよね。やっぱり飲食店時代の経験を活かして作ってるんですか。
フードは別のスタッフが作ってるんです。もっと言えば店の内装デザインも人に頼んでやってもらったりしてます。
-こだわりが強いような無いような…珍しいですね。カフェオーナーって、自分の独自色を打ち出すために全て自分で手掛けたいって思う人が多いイメージです。それこそコーヒーだって、こだわりが強ければ飲む人に価値観を押し付けて。亜希斗さんからは微塵も感じないですね、そこ。
カフェオーナーでコーヒーに拘りを持ってる人って、確かにお堅い人が多いですよ。うちのこだわりの濃厚コーヒーを飲め、これがコーヒーだ、みたいに出す人もいます。そうなるとお客さんも、そのインパクトだけで味もよくわからないのに「美味しい」って感じて、ねぇ。
-よくわかんないけど、オーナーがこれぞコーヒーって言ってるから美味いんだろうなっていう味わい方。日本人あるあるですね。
日本人は濃い味付けが好きですから。自分にもそういう時期ありましたけど、いざ焙煎を始めると、コーヒー豆によって変わる色々な味の方が面白くなって。
-おそらくカフェを利用している人でコーヒーの味の違いを楽しむ方は少ないでしょうね。
こればっかりは色々飲み比べないとわかりませんよ。深煎りの店も多いから、豆の味がわかりづらいっていうのも大きいでしょうし。その中でうちを選んでくれたら、とは思いますけどね。

コーヒーに捧げた人生
-お話をお伺いするまで、カフェオーナーってチャラチャラしてるものだと思ってました。聞けば聞くほど、真摯に取り組んでいるんだなっていうのが伝わってきます。街を歩けば自分が店の看板ですから、そりゃ下手なことできないですよね。
名前もAKITO COFFEEですから、それこそハメ外しはできませんよ。ほどほどにしないと。最低ラインで遊んでます。当たり前ですが責任もあるんで。
-責任ですか。
やっぱり独立して店をやるっていうのは自分に対する責任を感じます。プレッシャーも。遊びすぎて明日しんどいなぁ、って思っても店の営業には関係ないですから。二日酔いなんてタブーもタブーですよ。
-じゃあ自分が楽するためにガッポリ儲けて、幅広く展開するのも視野に入れているんですか。
全くないです。多分お金が入ったら全部コーヒーにつぎ込みます。いい機械はバカ高いんで、そっちの物欲は常にありますけどね。
-もう異星人と話してる気分です。チェーン展開して事業が安泰したら札束風呂に入って美女を侍らすだけが幸せじゃないんですね。
そういった意味ではラッキーかもしれません。本当にコーヒーに没頭しているだけで満足なんで。外車乗り回したいとかもないですし。
-もう一点の曇りもなく、コーヒーライフが満喫できればそれでいい、って感じが清々しいです。同じ男として羨ましい限り。
僕の場合たまたまコーヒーなだけで、やりたいことがあるって人は沢山いるんじゃないですか。だから我慢しないでやればいいのに、って単純に思っちゃいますけどね。能力だって人それぞれだし、好きな道を選べばいいだけの話ですから。好きであれば、苦労も時間も無いようなものです。
-好きなことだから辛くても続けられるっていうのは真理ですね。でもその好きなことがわからない人が溢れてるのもまた事実なのが難しいところ。
僕も最初から好きっていう感情で店を始めたわけではなくて、自分はどこで一番能力を発揮できるだろうってとこから考えました。それが何かお店をやるって形になっただけのことです。ベストだと思うポジションに落ち着けば、誰でもそれが好きなことになりますよ。
-また深い話をいただいてしまいました。ありがとうございます。これでインタビューは終わりますが、ぜひ亜希斗さんには世で燻っている若者のケツを叩いて回って欲しいですね。
いやいやいや(笑)
-本当、すごいエネルギーをもらいましたよ。あ、最後に爪の垢だけもらいますね。読者プレゼントにするんで。
嫌です。

取材を始める前の自分を殴りたい。そう思うほど、亜希斗さんは真っ直ぐな人でした。どこまでもコーヒーを愛し、自分の道を突き進む姿は惚れ惚れします。コーヒーこそがライフスタイルそのもの。嘘みたいな本当の職人です。
もちろんカフェオーナーも色々な種類の人がいるので、誰もが亜希斗さんのように一生を賭けてコーヒーと向き合う気概を持つ必要はないですし、それぞれのスタイルを否定するつもりもありません。
でも死ぬ前に一杯だけ最後のコーヒーが飲める。そんな日が来たら私はAKITO COFFEEを選ぶと思います。なぜかって?
亜希斗さんのコーヒーはその生き様の通り「生きたコーヒーの味」がするからです。
AKITO COFFEEにはHPがありません。お店に行ってみたい人は甲府駅北口を降りて徒歩400mほど31号線を直進してください。すぐに見つかりますよ。
AKITO COFFEE
山梨県甲府市武田1-1-13
tel.055-254-3551