JR御徒町駅から歩いて3分もかからない場所に、その熱帯魚店はあった。
Lagoon Campany(ラゴーン カンパニー)・・・なんだか、敷居の高そうな店名だ。一歩足を踏み入れると、480万円という値札をつけられた、真っ白なアロワナが出迎えてくれた。
こんな立派なお魚がいるお店をやっているっていうことは、とってもとっても気位の高い・・・頑固おやじみたいな人に違いない・・・。
そんな私の先入観は、すぐに崩されることになる。

こちらに人なつこい笑みをみせてくれた、斉藤店長さんは・・・・・・男前、だった。

 

1

 

 

ーーこんにちは。水換え中にすみません。

いえいえ、うちほとんど年中無休な上に一人でやってるんで、まぁ接客しながらとか水替えしながらになっちゃうんですけどよろしくおねがいします。

 

ーーよろしくおねがいします。あ、常連さんだ。

そうっす。彼結婚するらしいんで、なんでも好きな魚・・・あ、480万のやつ以外は結婚祝いにあげるって言ってるんすけど。

 

480万円のアロワナ
480万円のアロワナ

 

ーー豪気ですね。高い魚も多い・・・っていうか、見たことない魚ばっかりなんですけど。

そいつアリゲーターガーっていって。
(※常連さんに向かって)なぁ、結婚祝いこれ持って帰れよ。まぁこいつ3mくらいになるけど笑

 

ーーえっ

もうすぐ特定外来種とかに指定されるらしいっす。

 

ーー絶対飼いきれないやつ・・・

川に放されて、問題になるやつ。笑
まあうちは飼いきれない奴には売らないけど。

 

ーーポリシーすごいですね。お店を始めたきっかけはなんですか?

なりゆき。

 

ーー話し終わっちゃうじゃないですか笑

まじめに話すと、御徒町に、なんでもいいから店出せよって言われたんですよ知り合いに。で、俺昔宝石とか売ってて、その店にしようかと思ったんだけど・・・

 

ーーああ、御徒町ってそういう店多いイメージです。

そう。だからそれじゃおもしろくねーと思って、昔からちょっと詳しく飼ったり好きだったりした観賞魚店にしました。笑
で、みんなに「それ儲かるのか?」って心配されて。
「やってみないとわかんないだろ」っていって始めて、今はちょっぴり後悔しています。笑

 

ーー儲かんない。笑

相手考えずに、捨てられたり逃がされたりしようがかまわずバンバン売れば儲かるのかもしんないけど、そういうのいやなんで。

 

ーー昔バンバン売りすぎた的な。

そう。宝石関係の営業であちこち回って、バンバン売ってました。だからもうバンバン売れるのは備品や水槽だけでいいや。笑

 

ーーこの店の売れ筋はなんですか?

金魚とアカヒレです。

 

ーーえ、この・・・なんかワニっぽいのじゃないんだ

エンドリ?こいつすごいでかくなるから売れない笑
アロワナもぜんぜん売れません笑

 

ーーえっと…月にどれくらい売れます?

ぜんぜん売れません笑

 

ーー年に・・・?

・・・・・・ぱらぱらっと売れるぐらい?これを読んでる方に言いたい。
アロワナ屋は売れないから絶対にやめといた方がいい。声を大にして言いたい。

 

ーーえーっと・・・おしゃれな水槽もありますね!バイオーブ!

そう、それ最近話題のやつで、うちいま半分水槽屋になってる。
金魚とアカヒレと、バイオーブが売れ筋。

 

3

 

ーーすごい高い魚もいますけど、やっぱり高いと扱いが慎重になったり・・・値段によって、魚の扱いかわっちゃうもんですか?

かわんないっす。
100円の魚だろうが500万の魚だろうが、扱いは同じ。
病気になったら、根性で治す。

 

ーー100円の魚って、病気の薬使ったら赤字じゃないですか?

まぁ、そうなんだけど、根性で治す。

 

ーー私、昔飼ってた金魚が病気になったとき、ペットショップに相談に行ったら「治らないから新しいの飼えば?」って言われてショックだったことあります。

そういう売りっぱなしの店嫌いなんだよね。
たまに常連さんが、「魚が病気なのー」ってつれてくるんだけど、俺は獣医じゃねーって思いながらも相談乗っちゃうわ。笑

 

ーー熱帯魚店やるために、勉強とかしたんですか?

多少は。でもだいたい、うちのじーちゃんが・・・犬、猫、金魚、錦鯉、熱帯魚、蛇もいたな。あとオウム、インコ、カラスもいた気がする・・・とか飼ってて

 

ーー逆になに飼ったことないんすか笑

牛とか馬ぐらいじゃない?笑
まぁそんなブレーメンの音楽隊みたいな家で育ったから、自然と詳しくなったんです。