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photo by Jim Epler

 

親と暮らせない子ども?

 

親による子ども虐待のニュースが、あまりに多いと思いませんか?

 

じつは、児童相談所への児童虐待相談件数は、この20年間で約60倍に増えているとのことです。

虐待だけではなく死別、育児放棄などさまざまな理由で「親と暮らせない子ども」は約3万人も存在するそうです。

 

びっくりするような数字ですね。

 

そしてさらに驚くようなデータがあります。

 

「親と暮らせない子ども」の受け入れ先としては、どこの国にも公的には「施設」と「里親」とがありますが、現在日本では

 

「施設委託が90%・里親が受け入れるケースはたったの10%」

 

なのだそうです。これに対して、

 

お隣韓国の里親委託率は約40%。

フランスは約50%。

アメリカは約70%。

オーストラリアは約90%。

 

…と、半数以上の国も並びます。

日本の「里親委託率」はたったの10%ですよ。

 

 

里親制度はなぜ利用されないの?

 

単純に「なぜなのだろう」という疑問が浮かびますね。

 

まず、里親になりたい人は児童相談所に登録を申請することから始めるわけですが、この登録数がまだまだ足りていません。

 

里親というと、夫婦揃っていなければいけないのでは? と考えがちですが、未婚の単身者でもなれるのだそうです。

家庭訪問や「里親になれそうか、どうか」の調査・審議が行われ、そこをクリアすれば認定されます。

 

しかし認定されても、里子とのマッチングがなかなか上手くいかず、何年も待つケースがとても多いとのこと。

実の親が子どもを里親に預けることを嫌い、施設委託を希望するケースも多いのだそうです。

 

ちなみに「里親制度」とは里子を一時的に預かることを指し、期間は乳児期から18歳までと定められています。

里親は公費で養育費や助成金などを、受け取ります。

よほどの大富豪でないと里子など引き受けられないのでは…と、TVドラマのような想像をするのは間違い。

 

実親との親子関係を解消する「養子縁組」とは異なる制度なのですね。

 

この辺りも混同されているために、実親が「我が子をとられたくない」と頑なになり、なかなか里親制度が充実していかない面も大きいとのこと。

 

里親になる側から考えてみましょう。

 

日本では近年晩婚化が進み、不妊に悩む夫婦も増えています。

何百万円もかかる不妊治療も、すべて成功するわけではなく、35〜39歳で40%、40歳以上では10%にも満たない成功率なのだそうです。

 

費用だけではなく心身への負担の重い不妊治療。いつまで続けるのか、タイムリミットもあり、計画が必要ですよね。

 

「里子を預かる」もしくは実親との折り合いがつけば「養子縁組へ」というマッチングは、「親と暮らせない子ども」と「不妊に悩む夫婦」双方にとっての幸せにつながることも、多いのではないでしょうか?

 

 

血のつながりって?

 

我が家はいわゆる「ステップファミリー」世帯です。

私と、私の前の結婚による娘、新しいパートナー、の3人暮らし。

 

私の娘と、私のパートナーとは血のつながりはないわけです。

 

じつを言うとパートナーと私も婚姻届は出していないので、いわゆる「事実婚」。要するに戸籍上は他人です。それでもかれこれ15年くらい「家族」として生きてきております。

 

娘とパートナーとは、2人揃ってわりとドライなタイプの性格、ベタベタした人間関係が大嫌い。

音楽や映画、読書などの趣味も似ていて、実の親子でもそこまでじゃないのでは…と感じるくらい、よく話し合っていました。

 

そんな娘ですが、思春期にはまったく口をきかない時期がありました。

親である私にもほとんど口をきかず、返事はいつも

 

「べつに」

「普通」

 

(のたった2語…)だった記憶があります。

 

進路のことで悩んでいる様子の娘に、パートナーが気を利かせたつもりで具体的に助言をしようと、口を出した時のことです。

お決まりのセリフ

 

「本当の親でもないくせに!」

 

が飛び出しました。

 

思春期に入り自我が目覚めてからは、ずっとそのことでモヤモヤし、でもなかなか言い出せなかったのでしょうね。よく考えてみると娘が「本当の親でもないくせに!」と言ったのは、後にも先にもこの時たった1度きり。

 

見ていてハラハラしたものですが、今になって考えると全部「必要なこと」だったのかなと思えます。長い時間をかけて信頼関係が築けていないと、ぶつかることもできないのではないかなぁ。と。

 

やってみるまではわかりませんでしたが、世間から見れば奇妙な家族構成ながら「意外と上手くいったかも」が実感。

 

幼い子どもは血のつながりに関わらず、特定の大人に育てられることが何よりも大切なのだそうです。保護者と愛着関係を築くことで、自信を持ち、コミュニケーション能力が磨かれ、そして社会の中で自立することができる。

 

これまでの日本では、誰もが年頃になると結婚し、子どもは2人くらいもうけるのが当たり前…と、疑問も持たず生きてこられました。

 

しかし結婚も子育ても多様化し、定型(とされるもの)から外れ、社会の隅に追いやられている子どもがこんなに多い時代にはもう、それが当たり前ではなくなっています。

 

血のつながりはかけがえのないもので、実の親が子どもを育てるのが一番良いことに決まっています。

 

しかし、もしそれが叶わない状況だったら?

 

里親制度に関してはまだまだ認知度が低く、知らない制度は利用するはずもないので、まずは「知ることから」と思います。

 

どんな状況でも、希望はある。

 

…と、言える社会にしたいですね。