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“チーズ沼”はおそろしい

こんにちは、チーズプロフェッショナルのあんどうさやかです。

みなさん、一概に「チーズ」といってなにを思い浮かべますか?

ピザやトーストにのせる溶けるチーズ、ひとくちサイズのおつまみチーズ、バーで出てくるような臭〜いチーズ……などなど種類はたくさんありますよね。

 

そんななか、“チーズ沼”にハマった人間は、どんな国のどんなチーズでもなんとしてでも食べようとします。

輸入チーズには平均29.8%の関税がかけられているため(2015年現在)、チーズ沼民は年に莫大なチーズ税を納めていることになります。いやぁ〜乱世乱世!

 

そもそも、わたしが本格的にチーズ沼に沈み始めたのは、ほんの3,4年前のこと。イギリスに行った際におみやげで買った『ブルー・スティルトン』をポートワインと一緒に食べたとき、「塩味が強く刺激的なのにまろやかなチーズ+甘いワイン」のマリアージュに脳天を撃ちぬかれたような衝撃を受けたのが始まりでした。それまではスーパーで安く買えるチーズしか食べたことがなかったため、「(値段は高いけど)本格的なチーズを扱うデパ地下や専門店には、まだわたしの知らないめくるめく美味の世界が待っているのでは!」と考え、未知なるおいしいチーズを求めて足繁くチーズショップに通うようになり……気づけばチーズプロフェッショナルにまでたどり着くという顛末。この数年で納めてきたチーズ税のことは、おそろしいので考えたくありません!

 

わたしが考えるチーズの魅力とは

チーズは、さまざまな味覚が混じりあった料理ではなく、シンプルな食材のひとつ。それでありながら、実に複雑な味わいが楽しめる夢みたいな食べ物なのです!

 

味のするものは「ミルク」と「塩」しか使っていないのに、なぜこんなに複雑なうまみがあるのか? なぜこんなに種類があってそれぞれ味も違うのか?

わたしは、このミステリーこそがチーズの最大の魅力だと思います。

牛、羊、山羊のミルクはそれぞれに個性があり、そのうえでカビを生やしてみたり(白カビチーズ・青カビチーズ)、表面を塩水やお酒で洗ってみたり(ウオッシュチーズ)、お湯に入れて引きちぎってみたり(モッツァレラなど)、製造方法を変えるだけでまったく違うチーズになっていく……

 

チーズによっては、原料のミルクに動物が食べた草やハーブの香りが移っていて、ひとくち食べると口の中にアルプスの風景が広がるようなものも。

さらに、同じチーズなのに熟成期間の違いで味や香りがまったく変わってくるものも。

ほんと、ロマンティックでイマジネーションを刺激してくれる食材なのです。

 

これを食べればチーズ沼に落ちること間違いなし!

さて、ここまで読んで、チーズに俄然興味が湧いてきたのではないでしょうか? とっておきのチーズを食べて一気に沼へ飛び込みましょう!

 

montdor
冬の贅沢! スプーンで食べるド濃厚チーズ『モンドール』(ウオッシュ)

見てください、トロットロでしょう? フランスはフランシュ・コンテ地方で作られるこのチーズは、フランスとスイスの国境にそびえるジュラ山脈のモンドール渓谷にちなんで名付けられました。毎年8月15日〜3月31日の間しか製造が許されておらず、製造後さらに数週間熟成してから出荷されます。

熟成が若いうちは、まだ組織も弾力があり風味も穏やか。しかし、熟成が進むほどに組織がトロットロになり、香りも強く、ミルクのコクがグッと増してきます。そして特徴的なのが、周りに巻かれたエピセア(もみの木)の樹皮。この香りが独特のスパイスになり、モンドール特有の森の香りを生み出しています。

秋から春にかけて出回るモンドールですが、食べごろは冬。スプーンでモンドールをつつきながら過ごす……なんてちょっとぜいたくな家族団らんの時間もおすすめ。フランシュ・コンテのおとなり、ブルゴーニュ産のワインと合わせてみては?

モンドール 約500g 幻のチーズ ウォッシュチーズ フランス産

 

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あったか〜いコーヒーとの相性も◎ 『カンボゾラ』(青カビ)

こちらはドイツ産のチーズ。カンボゾラ(Cambozola)という名前は、白カビのカマンベール(Camembert)と青カビのゴルゴンゾーラ(Gorgonzola)から生まれた造語で、その名の通り、白カビと青カビのハイブリッドチーズ。

青カビチーズに白カビを生やしたチーズはカンボゾラのほかにもたくさんありますが、わたしはカンボゾラが一番おいしいと断言しちゃいます!

まるで魚卵を食べているかのようなまったりとしたコクとうまみ、クリーミーでやわらかな食感……あまりにおいしくて、初めて食べた時は目が覚めました。

ワインはもちろん、ドイツ生まれのチーズなのでビールとの相性もいいですよ。キリッとしたコーヒーに合わせても、乳脂肪分のクリーミーさが引き立っておすすめ。

★15%OFF SALE★カンボゾーラ

 

知れば知るほど好きになる チーズ学びのススメ

ただ沼にハマるだけでは物足りない……という方におすすめなのが、チーズのお勉強。

「チーズは好きだけど、知識がないので勉強してみたい!」という方は、チーズプロフェッショナル協会が運営する「チーズ検定」(年2回、3月と9月に実施)から試してみてはいかがでしょう。

その上で「もっともっとチーズを極めたい!」という方は、「チーズプロフェッショナル資格認定試験」にチャレンジ!

あなたも底なしのチーズ沼にハマってみませんか〜?