待ち合わせのカフェに現れたのは、事前にいただいていたプロフィール…「囲碁教室を運営し、450人以上の部員をまとめ、囲碁の社会人サークルを運営する女性」…とは、間逆のイメージの女性だった。
ニコニコ笑顔を絶やさない、ふんわりとした雰囲気の、理想のお嫁さん。
物腰も柔らかく、小動物のような動きで、彼女はお辞儀をして席に座った。
——こんにちは。今日はよろしくお願いします。
よろしくおねがいします。
——お名前を教えてください。
高橋麻矢です。マーヤって呼ばれてます。
——囲碁サークルを主催しているそうですが、名前はなんて言うのですか?
ヒカ碁倶楽部っていいます。
——名前の由来は?
ヒカルの碁で囲碁を始めた人があつまったサークルなのでつけました。
——マンガですよね。はまったんですか?
あんまり楽しそうに幽霊が囲碁うってるからそんなに楽しいのかなって思ってはじめたら楽しくてやめられなくなりました。
——幽霊ってあの烏帽子姿の…たしか名前が佐為ですよね。じゃあ佐為がすきなんですか?
いいえ、アキラくんです。
——即答!っていうかまさかその髪型・・・
アキラ君と同じ髪型にして16年!
最初はマンガ読むのが主体で、囲碁打つのは週1ぐらいでやってたんですけど、囲碁好きの真田昌幸にあやかろうと真田神社に行きまして「囲碁強くなりますように」ってお願いしたんです。
——強くなりました?
妹には、
「神頼みで囲碁強くなるわけないじゃんw」って言われたんですけど、お参りに行った翌日からなぜか毎日
「きょうはどこで囲碁打とうかな?」って思うようになりました。
それから10年以上囲碁漬けです。毎日。
——毎日!?それこそ何か憑いたんじゃないですか?
そうかも。恐ろしい神社ですよ。笑
——じゃあやめたくなったことは十年以上ないんですね。
やめたくなったらやめます。笑
でもそう思ったことないですね。
——それすごいですね。
よく聞かれるんですけどね、やめたくなったことない?って
部員のもめ事あったりして、仲裁したり。いろいろ大変で。
——部員何人いるんですか?
今450人突破しました。
——部員のレベルは?
始めたばっかりのひとも月に1ー2人入ってくるし、県代表とか元院生とかもいますよ。
——相手には困りませんね。部員の中で切磋琢磨できますね。
だいたい教えあってここまできたかんじ?
最初は15人からはじめたんですけど、最初は「シチョウ」っていう囲碁の基本手筋すら知らない部員で始めたんです。
——シチョウ知らずに碁を打つな、って格言ありますもんね。
そうですね。そんな格言もあるのに、創設メンバーは誰一人知らなかったんです。
——なのに今は県代表まで・・・?
ホームページで募集したんです。「シチョウも知らない私たちをどうか教えてください」って。「部員のほとんど女の子です」って書いたら、教えてくれくれる人がどーんときました。笑
——そんなに囲碁界に女の子多いんですか?
むしろ少ないです。碁会所をみた限りでは
男女比9:1といってもいいくらいですよ。
——そんな世界でよく最初にそんなに女の子あつめましたね。たいていは最初に「囲碁ぉ?」って感じで断られませんか?
そこでネガティブオプション商法を使ったんです!
——悪徳セールスみたい
悪徳商法のひとつですよ。
いきなり家にヒカルの碁8巻セットが送りつけられてきて。
読んでねはーとまーくつきの付箋がついてて、なんじゃこりゃ!?ってなって・・・
——とりあえず読んでみると。
読んだ頃に「一回ぐらい打ってみたくなったでしょ?」っていったら、たいていの人は「そうね一回ぐらいは・・・」ってなって、
第一回オフ会開いたら15人あつまりました。
——ルールは漫画でばっちり?
知ってるの3人くらい?基本ルールもあやしかったけど・・・囲めばとれる!みたいな。
——シチョウもしらない。笑
そうそう笑
囲めばとれる!しかしらない3人が他12人を教えました。笑